「庭にキツネが来るようになった」「エサをあさられている気がする」「近所で見かけたけど、エキノコックスは大丈夫?」——。札幌では、住宅街でキツネを見かけることが、めずらしくなくなりました。かわいい見た目とはうらはらに、「病気がうつるのでは」「子どもやペットは平気?」と不安になって、この記事にたどり着いたのだと思います。
まず、落ち着いて大丈夫です。大事なところを、先に整理します。ポイントは、「正しく知れば、ふつうに暮らすなかで十分に防げる」ということです。
そのうえで、まず気になる3つを、先にお伝えします。
- キツネを庭に来させない対策は、あなたの手でできます。カギは「エサになるものを断つ」こと。生ごみ・ペットフード・コンポストの管理が中心です
- エキノコックスは、正しい予防で防げる病気です。感染するのは「キツネの糞に含まれる卵が、口から入ったとき」。かまれてうつるのでも、空気でうつるのでもありません(くわしくは後述)
- 札幌市民は、各区の保健センターで無料の血液検査を受けられます。自覚症状が出にくい病気なので、不安な方はこの検査が支えになります
必要なところから読めます。
- 庭に来るキツネを、自分で遠ざけたい方 → 「来させない対策」の章へ
- エキノコックスって何? うつるの?が気になる方 → 「エキノコックスとは」の章へ
- 症状や、検査の受け方を知りたい方 → 「症状と検査」の章へ
- 子ども・ペットがいて心配な方 → 「子ども・ペット」の章へ
- 庭や床下に、居着かれてしまった方 → 「居着かれたら」の章へ
私たち「くらしの味方 開拓札幌」は、札幌で家まわりの困りごとの相談窓口を運営しています。
キツネや害獣についても、ご相談を承っています。この記事では、札幌市・北海道・保健所の公式情報をもとに、「対策」と「エキノコックスの予防」を1本に束ねて、脅すのでも急かすのでもなく、正直にお伝えします。医学的な診断や治療は医療機関の役割です。ここでは、公的な情報を分かりやすく翻訳し、必要なときに正しい窓口へつなぐことを心がけます。

- 1 札幌でキツネを見かけるのはなぜ?(市街地に増えた背景と、市の方針)
- 2 まず、やってはいけないこと(餌付け・接触・エサの放置)
- 3 庭に来させない、キツネ対策(エサを断つ・追い払う・侵入口をふさぐ)
- 4 エキノコックスとは? キツネからうつるの?(一次情報でやさしく整理)
- 5 エキノコックスの症状と、検査(不安なら”無料の血液検査”という支えがあります)
- 6 感染を防ぐ、5つの生活習慣(どれも、むずかしくありません)
- 7 子ども・ペットがいる家庭で、気をつけたいこと
- 8 キツネの糞を見つけたら(安全な処理の手順)
- 9 庭・床下に居着かれた、巣を作られた——そんなときは
- 10 キツネ・エキノコックスについて、よくあるご質問
- 11 まとめ|キツネは「近づけない」、エキノコックスは「正しく防ぐ」
札幌でキツネを見かけるのはなぜ?(市街地に増えた背景と、市の方針)
近年、札幌の住宅街でキツネの目撃が増えています。円山や藻岩山のふもとだけでなく、平地の市街地でも「庭を横切った」「公園にいた」という声が聞かれます。
理由はシンプルで、市街地に、キツネにとっての「エサ」と「隠れ場所」があるからです。生ごみ、放置されたペットフード、荒らされたコンポスト、あるいは家庭菜園の野菜——こうしたものが、キツネを引き寄せます。物置の下や床下といった、雨風をしのげる隙間も、キツネには好都合な環境です。
札幌市は、キツネの駆除・捕獲をしていません
「役所に言えば、駆除してくれるのでは」と思う方も多いのですが、ここは先に知っておいてください。札幌市は、キツネの駆除(殺処分)や捕獲を行っていません。
札幌市西区のキツネに関するページは、「札幌市では、野生鳥獣に人間は介入しないという原則から、キツネの駆除は行っていません」とはっきり案内しています。市保健所のエキノコックス症のページでも、市の基本方針は「人間の生活環境とキツネの生息圏との間に一定の距離を保ちながら共存を図ること」であり、「エキノコックス症対策を目的としたキツネの駆除(殺処分)は実施しておりません」と説明されています。
背景には、こんな事情もあります。市は、仮に捕獲できても「出没地域がキツネに好まれる環境である場合、他のキツネが入り込み、効果が一時的なものになる可能性がある」としています。つまり、1匹を捕っても、環境が変わらなければまた別のキツネが来る——だからこそ、駆除ではなく「近づけない環境づくり」が対策の中心になる、という考え方です。
「捕獲」には、原則として許可がいる
自分で捕まえよう、という発想も出てくるかもしれませんが、これも注意が必要です。キツネは野生動物で、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)の対象です。西区のページも「許可がないと原則キツネを捕獲することはできません」としています。
つまり、私たちにできる現実的な対策は、「捕る」ではなく「来させない」。次の章から、その具体策を見ていきます。
まず、やってはいけないこと(餌付け・接触・エサの放置)
対策の前に、「これだけはしないで」ということを先にお伝えします。良かれと思ってやったことが、キツネを居着かせ、エキノコックスのリスクを上げてしまうことがあるからです。
① 餌付け・呼び寄せ
いちばんやってはいけないのが、餌付けです。市保健所のページは、予防方法として「かわいいからといってキツネを餌づけしたり、呼び寄せたりして手を触れることのないようにしましょう」と明記しています。
一度エサがもらえると学習したキツネは、その場所に通うようになり、繁殖して数が増えることもあります。「かわいそうだから」「なついてきたから」という気持ちは分かりますが、キツネのためにも、人のためにも、エサはやらないでください。
② 触る・近づく
キツネやその糞に、素手で触らないでください。エキノコックスの卵は、糞に触れた手から口に入ることで感染します(くわしくは「エキノコックスとは」の章で)。
なお、キツネはもともと臆病な動物で、人を襲ってくることは、ほとんどありません。清田区のページも「キツネは元々おくびょうな動物で、キツネからおそってくることはほぼありません」と説明しています。ただし、子育て中の親ギツネは、子を守るために人を威嚇することがあります。キツネを見かけたら、近づかず、静かに離れましょう。
③ エサになるものの放置
意図せず「餌付け」になってしまうのが、エサの放置です。次のものは、キツネを呼ぶ原因になります。
- 生ごみ、残飯
- 屋外に出しっぱなしの、犬・猫のエサ
- 荒らされたコンポスト(生ごみ堆肥)
- 収穫しないまま放置した、家庭菜園の野菜や果実
「わざわざあげてはいないのに、なぜか来る」という場合、たいていは、この”うっかりエサ”が原因です。次の章で、断ち方を具体的に見ていきます。
庭に来させない、キツネ対策(エサを断つ・追い払う・侵入口をふさぐ)
ここからが本題です。キツネ対策の柱は3つ。①エサを断つ、②追い払う、③居場所(侵入口)をなくす。市の案内をもとに、家庭でできることを整理します。なお市も、これらは「地域ぐるみで取り組んでいただくことが重要」としています。1軒だけ対策しても、隣にエサ場があれば来続けるためです。
① エサを断つ(いちばん効く)
キツネが来る最大の理由がエサである以上、ここを断つのが最優先です。
- 生ごみ・ゴミステーションの管理:生ごみやコンポストが荒らされないように管理します。フタつきの容器を使う、収集日の朝に出す、などが有効です
- ペットフードを外に放置しない:犬・猫のエサや残りは、屋外に出しっぱなしにしないでください
- コンポストの管理:生ごみ堆肥は、キツネに荒らされない構造・置き場所にします
- 家庭菜園は、こまめに収穫する:熟して落ちた果実や、放置した野菜もエサになります。地面に残さないことが大切です
② 追い払う
姿を見かけたら、居心地の悪い場所だと分からせます。市は、対策例として次を挙げています。
- 大きな音を立てて追い払う:手をたたく、物音を立てるなどして、その場から離れさせます
- キツネが嫌がるものを散布する:市は「木酢液(もくさくえき)などキツネが嫌がるものを散布する」と案内しています。忌避の一手として使えます
ただし、追い払いは「来なくする」決め手にはなりにくく、エサを断つ対策とセットで初めて効いてきます。追い払っても、エサがあれば戻ってきます。
③ 居場所・侵入口をなくす
キツネは、雨風をしのげる隙間を「隠れ場所」や「巣穴」にします。
- 物置などは、戸締りする:市も「物置などは侵入されないように戸締りする」としています
- 床下・物置の下の隙間をふさぐ:金網やブロック、土のうなどで、入り込めないようにします
- 庭の見通しをよくする:やぶや積み上げた物は、隠れ場所になります。片づけて、隠れられる場所を減らします
家庭菜園がある家の、追加の注意
家庭菜園は、キツネを呼ぶ「エサ場」になりやすい場所です。加えて、エキノコックスの観点でも注意が要ります。キツネが畑に糞をすると、そこで育てた野菜が卵で汚れる可能性があるためです。だからこそ、収穫した野菜は、食べる前によく水洗いする・十分に加熱するのが基本になります(予防の詳細は後の章で)。ネットや柵で畑への侵入を防げると、なお安心です。

エキノコックスとは? キツネからうつるの?(一次情報でやさしく整理)
ここが、いちばん不安に感じやすいところだと思います。エキノコックスについて、札幌市・北海道・清田区の公式情報をもとに、正確に、でも分かりやすく整理します。正しく知れば、必要以上に怖がらずにすみます。
エキノコックスは、寄生虫による病気
札幌市保健所によると、エキノコックス症とは「エキノコックスと呼ばれる寄生虫の卵が、ヒトの口から体内に入り、幼虫となって肝臓などに寄生し、肝機能障害などを起こす病気」です。
もう少しかみくだくと、こういう流れです(清田区のページより)。
- エキノコックスの成虫は、キツネや犬の小腸にすみ、卵を作ります
- 卵は、キツネ(犬)の糞と一緒に、外へ出ていきます
- その卵を野ネズミが食べると、野ネズミの肝臓で幼虫になります
- 幼虫が寄生した野ネズミを、キツネ(犬)が食べると、また成虫になって卵を作ります
本来は「キツネ⇄野ネズミ」の間でまわっているサイクルで、ヒトは、このサイクルの中には入っていません。ヒトは、キツネの糞に含まれる卵が、たまたま口に入ったときにだけ、幼虫が主に肝臓に寄生します。
どうやって感染するの?(口から入ったときだけ)
感染経路は、はっきりしています。市保健所は、ヒトに卵が入るのは「エキノコックスが寄生したキツネやそのふんに直接さわるなどの場合」、あるいは「キツネのふんで汚染された山菜を生で食べたり、沢水・わき水を飲んだりした場合」としています。
つまり、感染するのは「糞に含まれる卵が、口から入ったとき」だけ。逆に言えば、次のような”よくある誤解”は、あたっていません。清田区のページが、はっきり説明しています。
- かまれても、感染しません:「万が一キツネにかまれても、傷口からエキノコックス症に感染することはありません」(ただし細菌感染などの可能性があるため、かまれた場合は念のため医療機関を受診してください)
- 空気ではうつりません:「エキノコックスの虫卵は乾燥に弱いため、空気中に舞い上がるほど乾いた状態では、感染性はなくなっています」
- ヒトからヒトにはうつりません:市保健所も「ヒトからヒトに感染することはありません」と明記しています。犬同士でも感染しません
キツネを見たら、全部が危ないの?
「キツネ=必ずエキノコックスを持っている」わけではありません。清田区のページによると、キツネの感染率は「年によって変動はありますが、だいたい30パーセントほど」で、「全てのキツネがエキノコックスに感染しているわけではありません」。
とはいえ、見た目では持っているかどうか分かりません。だからこそ、「どのキツネの糞も、触らない・口に入れない」を基本にするのが、確実な予防になります。
虫卵は「洗う・加熱する」に弱い
心強いのは、エキノコックスの卵(虫卵)には、弱点があることです。清田区のページは、虫卵の特徴をこう説明しています。
- 粘着性がない→「流水で洗い流すことができます」
- 熱に弱い→「60~80℃で5分、または100℃で1分の加熱でやっつけられます」
- 乾燥に弱い→乾燥すると感染性がなくなります
一方で、「寒さと湿気には強い」ともされています。だからこそ、後の章でお伝えする「野菜や山菜はよく洗う・加熱する」「手を洗う」が、理にかなった予防になるわけです。

エキノコックスの症状と、検査(不安なら”無料の血液検査”という支えがあります)
「もし、すでに感染していたら…」と不安になるかもしれません。ここは、健康に関わる大切なところなので、公式情報に忠実にお伝えします。診断や治療は医療機関の役割です。この章の目的は、「自覚症状が出にくい病気だからこそ、検査という支えがある」とお伝えすることです。
自覚症状が出るまでに、長い時間がかかる
エキノコックス症の特徴は、進行がとてもゆっくりなことです。市保健所は「エキノコックスの幼虫の発育は非常に遅く、自覚症状があらわれるまで数年から10数年かかるといわれています」と説明しています。
北海道のQ&A資料も、進行の段階をこう整理しています。
- 第一期(潜伏期):数年から10数年ほど、無症状の時期が続く。肝機能は正常域。ただし、血清(血液)検査ではしばしば陽性になり、腹部超音波検査やCT検査で肝臓に病巣が見つかることがある
- 第二期(進行期):肝臓が大きくなるのにともなって、上腹部の膨満(張り)・不快感などの、はっきりしない症状が出てくる
- 第三期(完成期):肝機能障害が起こり、腹部症状の増強、発熱、黄疸(おうだん)などの症状が出てくる
道が挙げる主な症状は「疲れやすい、黄疸、肝腫大に伴う上腹部の膨満・不快感、腹水、浮腫、発熱」です。ただし道も注意しているとおり、「自覚症状が出る頃には病気が悪化している可能性がある」。だからこそ、症状を待つのではなく、健康診断で早めに見つけることが大切だとされています。
早期に見つかれば、治療できる
不安を大きくしないために、こちらも公式の言葉でお伝えします。市保健所は「現在では、血液検査などで早期に発見でき、手術によって治すことができます」としています。
治療について、道は「薬物治療もありますが、現時点では、根治するためには手術で切除するしかありません」と説明しています。いずれにしても、共通して強調されているのは「早期発見・早期治療が大切」ということです。無症状のうちに見つけられれば、それだけ選べる道も広がります。
札幌市民は、各区の保健センターで”無料の血液検査”を受けられます
ここが、実生活でいちばん役に立つ情報です。札幌市民の方は、無料でエキノコックス症の検診(血液検査)を受けられます。
市保健所は「各区保健センター(健康・子ども課)では、小学生以上の札幌市民の方を対象とした、無料の検診(血液検査)を実施しています」と案内しています。実施日や受付時間は区によって異なるため、お住まいの区の保健センターに問い合わせて確認してください。検診の申し込み先は、次のとおりです(市保健所ページより)。
| 区 | 保健センター(健康・子ども課保健予防係) | 電話 |
| 中央区 | 中央保健センター | 011-205-3351 |
| 北区 | 北保健センター | 011-757-1185 |
| 東区 | 東保健センター | 011-711-3211 |
| 白石区 | 白石保健センター | 011-862-1881 |
| 厚別区 | 厚別保健センター | 011-895-1881 |
| 豊平区 | 豊平保健センター | 011-822-2400 |
| 清田区 | 清田保健センター | 011-889-2400 |
| 南区 | 南保健センター | 011-581-5211 |
| 西区 | 西保健センター | 011-621-4241 |
| 手稲区 | 手稲保健センター | 011-681-1211 |
エキノコックス症そのものや検診に関する問い合わせは、札幌市保健所感染症総合対策課(011-622-5199)でも受け付けています。
北海道全体では、道内の各市町村で一次検査(血液検査)が行われており、道のQ&A資料によると対象は「主に小学校3年生以上で5年以上検査を受けていない方」です。一次検査で感染の疑いがあった場合は、道が委託する医療機関で精密検査を受けられます。道は「少なくとも5年に一度は血清検査を受けて、感染してないことを確かめておくとよいでしょう」とも案内しています。
感染を防ぐ、5つの生活習慣(どれも、むずかしくありません)
予防は、特別なことではありません。市保健所が挙げる予防方法をもとに、家庭でできることを整理します。どれも、今日から始められる基本の習慣です。
- 外から帰ったら、よく手を洗う:市保健所は「野山に出かけ、帰ったときはよく手を洗うようにしましょう。また、衣服や靴についた泥もよく落としましょう」としています。土や糞に触れた手を、口に運ばないための基本です
- キツネや、その糞に触らない:エサをやったり、呼び寄せたりして手を触れないこと。糞の処理が必要なときは、次の章の手順で行ってください
- 山菜・家庭菜園の野菜は、よく洗う・加熱する:市保健所は「野山の果実や山菜などを口にする場合、流水でよく洗い、十分熱を加えて食べるようにしましょう」としています。前の章のとおり、虫卵は流水で洗い流せ、加熱で死にます
- 沢水・わき水などの生水を飲まない:市保健所も「沢水、わき水などの生水を飲まないようにしましょう」と明記しています。登山やアウトドアのときは、とくに注意してください
- 井戸水を使うなら、水源に動物を近づけない:井戸水を飲用に使う場合、市保健所は「水源付近に動物を侵入させないようにしましょう」としています
なお、札幌の一般家庭で使われている水道水は、浄水処理されているため、エキノコックスの心配はありません。注意が必要なのは、あくまで処理されていない沢水・わき水・管理していない井戸水です。
子ども・ペットがいる家庭で、気をつけたいこと
「小さい子が庭で遊ぶ」「犬を散歩させる」——こうした家庭では、もう一歩ふみこんだ注意が安心につながります。ここも、脅すためではなく、具体的にどうすればいいかをお伝えします。
子どもがいる家庭
子どもは、砂遊びや土いじりのあとに、手を口に持っていきがちです。基本は、大人と同じ「手洗い」です。
- 外遊びや、砂場・庭で遊んだあとは、必ず手を洗う習慣をつける
- キツネやその糞を見つけても、触らないよう伝えておく
- 庭でとれた果実や野菜を、そのまま口に入れない。洗ってから食べさせる
過度に怖がる必要はありませんが、「外から帰ったら手を洗う」を家族の習慣にしておくことが、いちばんの予防です。
ペット(とくに犬)がいる家庭
見落とされがちですが、犬も、エキノコックスに感染することがあります。市保健所によると、犬は「エキノコックスに感染した野ネズミを食べた場合に感染する」とされます。そして「犬が感染すると、エキノコックスの虫卵を糞便中に排泄し、ヒトへの感染源となる」——つまり、感染した犬の糞を片づける飼い主が、危険にさらされることになります。
ただし、清田区のページが補足しているとおり、犬は「キツネやそのふんからは感染しません」「犬同士でも感染しません」。感染するのは、あくまで感染した野ネズミを食べたときです。だからこそ、犬が野ネズミを食べない環境づくりが大切になります。市が案内する、犬の飼い方の注意は次のとおりです。
- 放し飼いはやめる
- 散歩のときは、必ずリード(引き綱)を使う
- 道路上などに落ちているものを、食べさせない
- 散歩のときは、糞を必ず持ち帰る
- 犬に触れたあとは、必ず手を洗う
- 飼い犬の感染が疑われる場合は、早めに動物病院を受診する
実際、札幌市内でも令和4年に飼い犬の感染が確認されており、市も飼い主に注意を呼びかけています。猫については、犬ほどの注意喚起はされていませんが、外に出る猫が野ネズミを捕ることはあるため、心配なときはかかりつけの動物病院に相談するとよいでしょう。

キツネの糞を見つけたら(安全な処理の手順)
庭や玄関先で、キツネのものらしい糞を見つけることがあります。放置すると衛生的にも気になりますが、素手で触らないことが大前提です。市が案内している、安全な処理手順をお伝えします。
市が案内する、糞の処理4ステップ
- 使い捨てのゴム(ビニール)手袋、マスクを着用し、割りばし、二重にしたビニール袋を用意する
- 割りばしで糞をはさみ、ビニール袋に割りばしごと入れ、内側のビニール袋の口を閉じる
- マスク、手袋をはずし、外側のビニール袋に入れて口を閉じる
- ビニール袋は燃えるごみとして廃棄する。作業終了後、手洗い、うがいをする
ポイントは、手袋・マスクで身を守る、二重の袋で密閉する、作業後に手を洗うの3つです。前の章のとおり、虫卵は乾燥に弱いとはいえ、念のため乾いた糞を無理にこすって舞い上げないよう、静かに処理してください。
広範囲・大量のとき、床下など手が届かないときは
糞が広範囲にわたる、床下や物置の下など手が届きにくい場所にある、といった場合は、無理をしないでください。そうした状況は、キツネが「居着いている」サインでもあります。次の章で、居着かれたときの対応をお伝えします。
庭・床下に居着かれた、巣を作られた——そんなときは
「一時的に来る」だけならエサ対策で十分ですが、床下や物置の下に住みついた・巣を作られたとなると、話が変わってきます。ここでの対応と、業者に頼むときの正直なところをお伝えします。
巣を見つけたら(春〜夏に多い)
キツネは、穴を掘って巣をつくります。西区のページによると、巣穴を使うのは「出産から子育てを終えるまでの期間(春~夏)のみで秋には放棄しますが、翌年も再利用する場合があります」。つまり、秋以降は空になることが多いものの、放っておくと翌年また使われることがあります。
市が案内する対応は、次のとおりです。まず、木酢液などを浸した布を巣の中に入れる、大きな音を立てるなどしてキツネを追い払います。そのうえで、
- 巣が地中の場合:穴を土や砂で埋めたあと、地面に金網やコンクリートブロックなどを敷いて、再び掘られないようにする
- 巣が床下の場合:侵入口とその周囲を、コンクリートブロックや土のうなどでふさぐ。キツネに動かされないよう、固定するなどの工夫をする
ただし、中に子ギツネがいる時期に無理に追い出すのは避けてください。子育て中の親は威嚇することがありますし、危険もともないます。判断に迷うときは、お住まいの区の保健センターに相談してください。
「キツネの駆除業者」は、実は限られています
ここは、正直にお伝えします。前述のとおり、市はキツネの駆除・捕獲を行っておらず、捕獲には原則として許可が必要です。そのため、「キツネを捕まえて連れ去る」タイプの業者は、鳩やネズミの駆除ほど多くはありません。
現実的にお願いできるのは、多くの場合、「侵入口をふさぐ・床下を封鎖する・糞を清掃する」といった、再び入り込ませないための工事や清掃です。個人でどうしても捕獲・駆除を希望する場合の相談先として、市保健所は(一社)北海道ペストコントロール協会(電話 011-826-5737)を案内しています。
なお、床下や天井裏では、キツネ以外の害獣(イタチ・ハクビシン・アライグマなど)が住みついていることもあります。「物音はするが姿は見ていない」という場合は、屋根裏・床下の物音の正体と対処や、ハクビシン・アライグマの見分けと対策もあわせてご覧ください。相手が変われば、法律の扱いも対処法も変わります。
迷ったら、状況を教えてください
「これは自分でいける? 業者に頼むべき?」——その線引きが、いちばん迷うところだと思います。開拓札幌では、床下の封鎖や糞の清掃など、キツネの居着き対策に対応できる札幌の業者を、中立の立場でご案内しています。特定の業者に肩入れせず、お客さまの状況に合う方法を一緒に考えます。
キツネは「近づけない」、エキノコックスは「正しく防ぐ」。開拓札幌の公式LINEでは、「札幌の虫・害獣・蜂・鳥 見分け&対処 早見表」を無料でお渡ししています。

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キツネ・エキノコックスについて、よくあるご質問
Q. キツネの糞を、素手でさわってしまいました。
まず、あわてないでください。すぐに、石けんでよく手を洗ってください。感染するのは卵が口に入った場合で、触れただけで必ず感染するわけではありません。手を洗ったあと、洗う前に手を口へ運んでいないかを思い返し、不安が残るようなら、お住まいの区の保健センター(感染症総合対策課 011-622-5199)に相談するか、無料の血液検査を検討してください。心配な症状があるときは、医療機関を受診してください。
Q. キツネにかまれました。エキノコックスは大丈夫ですか?
清田区のページによると、「万が一キツネにかまれても、傷口からエキノコックス症に感染することはありません」。エキノコックスは、糞に含まれる卵が口から入って感染するもので、咬み傷からはうつりません。ただし、細菌感染などの可能性があるため、かまれた場合は念のため医療機関を受診してください。
Q. 犬・猫にも、キツネからうつりますか?
犬は、キツネそのものやその糞からは感染しません(清田区ページ)。犬が感染するのは、エキノコックスに感染した野ネズミを食べたときです。だからこそ、放し飼いをやめ、散歩でリードを使い、拾い食いをさせないことが予防になります。猫についても、外で野ネズミを捕る場合は、心配ならかかりつけの動物病院に相談してください。
Q. キツネは、冬もいますか?
はい。キツネは1年を通して札幌に生息しており、冬も活動します。冬は雪の下の生ごみやエサを探して、住宅街に近づくこともあります。季節を問わず、エサを放置しない対策が基本です。
Q. 子ギツネが庭にいます。保護したほうがいいですか?
むやみに保護したり、触ったりしないでください。近くに親ギツネがいることが多く、人が手を出すとかえって育児を妨げます。また、キツネへの接触は感染予防の観点からも避けるべきです。静かに離れ、エサをやらず、来なくなるのを待つのが基本です。困ったときは、区の保健センターに相談してください。
Q. 家庭菜園の野菜は、食べても大丈夫ですか?
よく水洗いし、十分に加熱すれば、心配は大きく減らせます。虫卵は流水で洗い流せ、加熱(60〜80℃で5分、または100℃で1分)で死ぬとされています(清田区ページ)。生で食べる葉物などは、とくにていねいに洗ってください。畑にキツネを入れない柵やネットも有効です。
Q. 開拓札幌に頼むと、しつこい営業電話が来ませんか?
来ません。開拓札幌からご案内するのは、ご相談の内容に合う1〜2社だけです。申し込んだ直後から何社もの営業電話が鳴る、ということはありません。「連絡してみたらエリア外だった」という場合の探し直しも、こちらで引き受けます。
まとめ|キツネは「近づけない」、エキノコックスは「正しく防ぐ」
最後に、大切なことを、もう一度おさらいします。
- 札幌市はキツネの駆除・捕獲をしていない。対策の中心は「捕る」ではなく、エサを断って”来させない”こと
- いちばん効くのはエサを断つこと。生ごみ・ペットフード・コンポスト・家庭菜園の管理が要。追い払い(音・木酢液)と、侵入口ふさぎがそれを補う
- エキノコックスがうつるのは「糞の卵が口に入ったとき」だけ。かまれても・空気でも・ヒトからヒトにも、うつらない
- 予防は手洗い・野菜や山菜をよく洗って加熱・沢水を飲まないの基本で十分。犬は放し飼いをやめ、リード・拾い食い防止を
- 自覚症状が出にくい病気だからこそ、札幌市民は各区の保健センターで受けられる無料の血液検査という支えがある。不安なら活用を
キツネは、正しく向き合えば、必要以上に怖がる相手ではありません。「エサで近づけない」「基本の予防を続ける」「不安なら検査する」——この3つで、ふつうの暮らしを守れます。

