家を解体して更地にすると固定資産税は上がる?「6倍問題」の正体【札幌】

解体して更地にすると固定資産税は上がる?


「古くなった実家を解体したいけれど、更地にすると固定資産税が6倍になると聞いて、踏み出せない」——。相続した空き家や、傷んだ老朽住宅をお持ちの方から、とても多くいただくご不安です。

まず、結論から正直にお伝えします。解体して更地にすると、土地の固定資産税は上がります。ただし「必ず6倍」ではありません。実際には、6倍まで上がらないケースのほうが多いくらいです。

 

「6倍」という数字は、ひとり歩きしています。ネットの記事の多くが、仕組みの一部だけを取り出して「6倍」とだけ書くため、必要以上に怖くなってしまうのです。大事なのは、あなたの土地で実際にいくら上がるのかを、正しい数字で見積もることです。

 

必要なところから読めます。

  • 本当に6倍上がるのかを知りたい方 → 「6倍にならない3つの理由」の章へ
  • なぜ上がるのか、仕組みを知りたい方 → 「住宅用地特例が外れる仕組み」の章へ
  • 札幌でいくら上がるのかを試算したい方 → 「札幌でいくら上がる?」の章へ
  • 解体しなくても上がると聞いた方 → 「特定空家・管理不全空家」の章へ

私たち「くらしの味方 開拓札幌」は、札幌で空き家・実家じまいや解体の相談窓口を運営しています。

この記事では、札幌市の公式ページと国の資料をもとに、「6倍問題」の正体を、専門用語をかみくだいて正確にお伝えします。読み終えるころには、「自分の土地でいくら上がるのか」「上げすぎないための手はあるのか」がはっきりします。

代表 成田
「6倍」という言葉だけが怖くて、解体をためらう方は本当に多いです。でも、正確に計算すると、たいていはそこまで上がりません。この記事では、脅すのではなく、札幌の実際の税率で「いくらになるか」を数字で並べます。まずは、なぜ6倍にならないのかから、いっしょに見ていきましょう。
目次

「解体して更地にすると固定資産税6倍」は本当か|結論と、6倍にならない3つの理由

解体して更地にすると住宅用地の特例が外れ固定資産税は理屈上最大6倍になるが、実際は6倍にならない3つの理由を示す図。①200㎡を超える部分はもともと軽減が3分の1で最大3倍まで、②負担調整措置で更地の課税の基準は評価額の70%が上限、③解体すれば建物分の固定資産税がゼロになるため、実際には6倍まで上がらないことが多い。都市計画税は最大でも3倍。

先に、この章でいちばん大事なことをお伝えします。「更地にすると固定資産税が6倍」という話は、仕組みの一部だけを取り出した”最大値”です。多くの土地では、実際の増え方はこれより小さくなります。

なぜ「6倍」という数字が出てくるのか。それは、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」という税の軽減があり、その軽減のいちばん手厚い部分が「6分の1」だからです。家を壊すとこの軽減が外れ、6分の1だった課税の基準が1に戻る——だから「最大で6倍」と言われます。仕組みのくわしい話は、次の章でお伝えします。

ここでは、なぜ実際には6倍まで上がらないことが多いのか、その3つの理由を先にお伝えします。

理由①:土地が広い部分(200㎡超)は、もともと軽減が「3分の1」

住宅用地の特例は、土地の広さで軽減率が分かれています。

  • 200㎡以下の部分(小規模住宅用地)=固定資産税の課税の基準が6分の1
  • 200㎡を超える部分(一般住宅用地)=固定資産税の課税の基準が3分の1

つまり、「6倍」になるのは200㎡以下の部分だけです。200㎡を超える広い土地では、超えた部分はもともと3分の1の軽減なので、特例が外れても3倍までしか上がりません。土地が広い戸建てほど、全体の倍率は6倍より小さくなります。

理由②:負担調整措置で、更地の課税の基準は「評価額の70%」が上限

これが、いちばん見落とされがちな理由です。土地の固定資産税には「負担調整措置(ふたんちょうせいそち)」という、急な増税をやわらげる仕組みがあります。

更地(住宅が建っていない土地)の場合、課税の基準になる額は「その土地の評価額の70%」が上限と決められています。つまり、特例が外れて「6分の1→1」に戻るといっても、実際に課税の基準になるのは評価額まるまる(100%)ではなく、その70%までです。この分だけ、実際の増え方は理屈上の6倍より圧縮されます。

しかも、負担調整措置には「急に上がらないよう、少しずつ引き上げる」という性質もあります。特例が外れた翌年に、いきなり満額に飛ぶのではなく、上限に向かって段階的に近づいていく年もあります。「解体の翌年に、いきなり最大まで跳ね上がる」とは限らない、と押さえておいてください。

理由③:建物にかかっていた税金が、なくなる

見落とされがちですが、大事な点です。家が建っている間は、土地の固定資産税に加えて、建物(家屋)の固定資産税もかかっています。解体すれば、この建物分の税金はゼロになります。

とくに解体を考えるような古い家は、年数がたつほど評価額が下がる仕組み(経年減価)で、建物の税額がすでにかなり小さくなっていることが多いものの、それでもゼロにはなります。「土地+建物」の合計で見ると、増える倍率はさらに小さくなるのです。「土地の税金だけ」を見て6倍と怖がると、判断を誤ります。

たとえば、解体前に「土地4万円+建物2万円=合計6万円」を払っていた家を考えてみます。更地にして土地の税金が14万円に上がっても、建物分の2万円は消えるので、合計は「6万円→14万円」で約2.3倍です。「土地だけ」を見た約3.5倍より、実際の家計への影響はやわらぎます。あなたの家でも、まず建物分がいくらかを課税明細書で確認しておくと、正しく判断できます。

代表 成田
「6倍」は、いちばん条件がそろったときの最大値です。実際には、土地が広ければ3倍止まりの部分があり、負担調整で70%に抑えられ、建物分の税金は消えます。だから、まず落ち着いて。次の章で仕組みを、そのあとの章で札幌の数字で試算していきます。

なぜ上がるのか|住宅用地特例が外れる仕組み

住宅用地の特例が外れる仕組みの図。解体前は、小規模住宅用地(200㎡以下)が固定資産税の課税の基準6分の1・都市計画税3分の1、一般住宅用地(200㎡超)が固定資産税3分の1・都市計画税3分の2に軽減されている。解体して更地にすると特例が外れ、固定資産税は6分の1から1に戻り理屈上最大6倍、都市計画税は3分の1から1に戻り理屈上最大3倍。出典は札幌市公式。

ここで、税金が上がる仕組みそのものを、正確に押さえておきましょう。カギは「住宅用地の特例」という軽減制度です。

家が建つ土地は、税金が軽くされている

そもそも、なぜ更地にすると税金が上がるのか。それは、家が建っている土地は、住んでいる人の負担を軽くするために、税金が大きく軽減されているからです。この軽減が「住宅用地の特例」です。

札幌市の公式ページ(土地の固定資産税・都市計画税)によると、住宅用地の特例は、土地の広さで次のように分かれています。

区分対象の面積固定資産税の課税の基準都市計画税の課税の基準
小規模住宅用地200㎡以下の部分価格の6分の1価格の3分の1
一般住宅用地200㎡を超える部分(※)価格の3分の1価格の3分の2

※一般住宅用地の対象は、200㎡を超える部分で、かつ家屋の延床面積の10倍までです。

「価格の6分の1」というのは、税金を計算するもとになる額(課税の基準)が、土地の評価額の6分の1に軽くされているという意味です。たとえば評価額1,200万円の土地なら、200万円を基準に税金がかかる、というイメージです。

家を壊すと、この軽減が「外れる」

この特例は、あくまで「住宅(家)が建っている土地」への軽減です。解体して更地にすると、そこに住宅がなくなるため、特例が外れます

軽減が外れると、課税の基準は6分の1(または3分の1)から、本来の額へ戻ろうとします。これが「税金が上がる」正体です。札幌市の危険空家等除却補助制度のページも、「住宅の解体後は、住宅用地の特例措置が適用されなくなり、土地の固定資産税などの税金が上がることがあります」と、はっきり注意書きをしています。

「6倍」と「3倍」の意味

ここまでで、「6倍」の理屈が見えてきます。

  • 固定資産税:課税の基準が「6分の1 → 1」に戻ると、理屈のうえでは最大6倍
  • 都市計画税:課税の基準が「3分の1 → 1」に戻ると、理屈のうえでは最大3倍

つまり、正確には「固定資産税が最大6倍・都市計画税が最大3倍」が、住宅用地特例が外れることの意味です。ただし、これはあくまで「200㎡以下の部分」「負担調整措置を考えない」場合の最大値です。前の章でお伝えしたとおり、実際にはここまで上がらないことが多い、と押さえておいてください。

代表 成田
「6倍」は固定資産税の話で、都市計画税は最大でも3倍です。この2つをごちゃ混ぜにして「6倍」とだけ書く記事が多いので、混乱しやすいんですね。次は、札幌の実際の税率を当てはめて、金額で見ていきましょう。

札幌でいくら上がる?|固定資産税1.4%+都市計画税0.3%で試算

札幌で解体して更地にした場合に土地の固定資産税がいくら上がるかを2ケースで試算した図。ケース1(200㎡以下・評価額1,200万円)は、解体前が固定資産税約28,000円+都市計画税約12,000円=合計約40,000円、解体後は課税の基準が評価額の70%上限になり固定資産税約117,600円+都市計画税約25,200円=合計約142,800円で約3.6倍。ケース2(敷地300㎡・評価額2,000万円)は、解体前が合計約89,000円、解体後は固定資産税約196,000円+都市計画税約42,000円=合計約238,000円で約2.7倍。税率は固定資産税1.4%・都市計画税0.3%。いずれも仮の評価額での試算で、6倍にはならない。

仕組みが分かったところで、いちばん知りたい「札幌で、実際いくら上がるのか」を試算してみましょう。ここに出す金額は、分かりやすく仮に置いた数字での試算です。あなたの土地の実際の額は、評価額によって変わります。正確な額は、後の章でお伝えする方法で確認してください。

札幌市の税率

まず、札幌市の税率です。札幌市公式(固定資産税)同(都市計画税)によると、次のとおりです。

  • 固定資産税:課税標準額 × 1.4%
  • 都市計画税:課税標準額 × 0.3%(市街化区域内の土地・家屋が対象)

土地の税金は、この2つを合わせて考えます。以下、市街化区域内(都市計画税がかかる区域)の土地を前提に試算します。

ケース1:200㎡以下の土地(評価額1,200万円)

まず、200㎡以下のコンパクトな土地で、土地の評価額を1,200万円と仮に置きます。

【解体前・住宅が建っている状態】

  • 固定資産税:1,200万円 × 1/6 × 1.4% = 約28,000円
  • 都市計画税:1,200万円 × 1/3 × 0.3% = 約12,000円
  • 土地の税額 合計 = 約40,000円

【解体後・更地にした状態】

更地は負担調整措置で、課税の基準が「評価額の70%」を上限に抑えられます。ここではその上限で計算します。

  • 固定資産税:1,200万円 × 70% × 1.4% = 約117,600円
  • 都市計画税:1,200万円 × 70% × 0.3% = 約25,200円
  • 土地の税額 合計 = 約142,800円

土地の税額は、約4万円から約14.3万円へ。倍率にすると約3.6倍です。「6倍」ではありません。負担調整措置で課税の基準が70%に抑えられているぶん、実際の増え方は理屈上の最大より小さくなります。

ケース2:200㎡を超える土地(評価額2,000万円)

次に、もう少し広い土地です。ここでは敷地300㎡・土地の評価額を2,000万円と仮に置きます。200㎡までは6分の1、200㎡を超える100㎡分は3分の1の軽減です。評価額は面積で按分して、200㎡分=約1,333万円、100㎡分=約667万円として計算します(この按分は、あくまで分かりやすくするための仮の置き方です)。

【解体前・住宅が建っている状態】

200㎡以下の部分(小規模住宅用地)と、200㎡を超える部分(一般住宅用地)で、軽減率が変わります。

  • 固定資産税(200㎡以下):約1,333万円 × 1/6 × 1.4% = 約31,100円
  • 固定資産税(200㎡超):約667万円 × 1/3 × 1.4% = 約31,100円
  • 都市計画税(200㎡以下):約1,333万円 × 1/3 × 0.3% = 約13,300円
  • 都市計画税(200㎡超):約667万円 × 2/3 × 0.3% = 約13,300円
  • 土地の税額 合計 = 約89,000円

【解体後・更地にした状態】

更地になると面積の区分は関係なくなり、土地全体が負担調整措置で「評価額の70%」を上限に課税されます。

  • 固定資産税:2,000万円 × 70% × 1.4% = 約196,000円
  • 都市計画税:2,000万円 × 70% × 0.3% = 約42,000円
  • 土地の税額 合計 = 約238,000円

土地の税額は、約8.9万円から約23.8万円へ。倍率にすると約2.7倍です。ケース1(200㎡以下だけの土地)の約3.6倍と比べて、倍率が小さくなっているのが分かります。理由は、200㎡を超える部分は、もともと3分の1の軽減(=更地になっても上がり幅が小さい)だからです。部分ごとに倍率を見ると、次のように整理できます。

状態200㎡以下の部分200㎡超の部分
解体前(住宅あり)課税の基準=6分の1課税の基準=3分の1
解体後(更地)負担調整で評価額の70%まで負担調整で評価額の70%まで
その部分だけの倍率(目安)約3.6倍約1.8倍

広い土地ほど、6分の1の恩恵を受けていた「200㎡以下の部分」の割合が小さくなり、上がり幅の小さい「200㎡超の部分」の割合が大きくなります。だから土地全体の倍率は下がる——これが「土地が広いほど6倍になりにくい」理由です。

建物分の税金が消える点も、忘れずに

上の試算は「土地だけ」の話です。実際には、解体で建物(家屋)の固定資産税がゼロになります。古い家でも建物分の税額があれば、その分が減ります。「土地の税金は増えるが、建物の税金は消える」——この両方を並べて、はじめて解体後の負担が正確に見えてきます。

代表 成田
ここに出したのは、分かりやすく置いた仮の数字での試算です。あなたの土地の正確な評価額は、毎年届く固定資産税の「課税明細書」や、市の窓口で確認できます。数字が見えると、「6倍で破産」ではなく「年に◯万円の増加」と、現実的に判断できるようになります。

解体・建替えのタイミング|賦課期日「1月1日」と、更地で越年しない戦略

固定資産税の賦課期日1月1日の考え方を時間軸で示した図。固定資産税は毎年1月1日の状態でその年の税額が決まる。今年の1月1日に住宅があれば特例が続き、年の途中で解体してもその年いっぱいは軽減が続く。翌年の1月1日に更地だと特例が外れ、翌年の課税から土地の税金が上がる。解体した瞬間に上がるわけではない。建て替えの場合は1月1日時点で新築が完成していれば更地扱いを避けられる場合があり、着工前に札幌市の税の窓口へ確認する。

税金が上がる仕組みが分かると、次に気になるのが「いつ解体するのが得か」です。ここで知っておきたいのが、「賦課期日(ふかきじつ)」という考え方です。

固定資産税は「1月1日の状態」で決まる

札幌市公式によると、固定資産税は毎年1月1日(賦課期日)現在で、その固定資産を所有している人にかかります。

大事なのは、「1月1日の時点で、土地の上に住宅が建っているかどうか」で、その年の土地の税額が決まる、という点です。

  • 1月1日に住宅が建っている → その年は住宅用地の特例が使え、土地の税金は軽いまま
  • 1月1日に更地(住宅なし) → その年から特例が外れ、土地の税金が上がる

つまり、解体したその瞬間に税金が跳ね上がるわけではありません。年の途中で解体しても、その年いっぱいは(1月1日に家があったので)軽減が続き、影響が出るのは翌年の課税からです。

「更地で年を越さない」という考え方

このルールから、こんな段取りが見えてきます。

  • すぐに売る・活用する予定なら:解体後、更地のまま1月1日をまたぐと、翌年から税金が上がります。売却や次の活用が決まっているなら、更地で長く年を越さないように段取りを組むと、増税の期間を短くできます
  • 建て替える予定なら:古い家を壊して新しい家を建てる場合、1月1日の時点で新しい建物が完成している(または建築中で一定の条件を満たす)と、更地扱いを避けられる場合があります。工事の工程を組むときに、この時期を意識すると負担を抑えられます

建て替えのときの「建築中の土地」の扱いは、条件が細かく、市の判断によります。建て替え予定がある方は、着工前に札幌市の税の窓口に確認しておくと安心です。

代表 成田
「解体したら、その月からすぐ税金が上がる」と思っている方が多いのですが、実際は翌年からです。だから、売却や建て替えの予定があるなら、1月1日をどう迎えるかで負担が変わります。段取りの相談も、開拓札幌で承っています。

解体しなくても上がるケース|特定空家・管理不全空家(2023年改正)

ここまでは「解体して更地にすると上がる」話でした。じつは、その逆——「解体せず、空き家のまま放置していても、税金が上がる」ケースがあります。ここは、空き家をお持ちの方は必ず知っておいてください。

放置した空き家は、特例が外される

「家が建っていれば住宅用地の特例が使えるなら、解体せず放置しておけば税金は安いままでは?」——そう考える方もいます。ですが、そう単純ではありません。

国土交通省の資料(空家等対策特別措置法の改正概要)によると、倒壊のおそれなど、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家は「特定空家等」に指定され、市町村長から助言・指導・勧告・命令などの措置を受けます。そして、勧告を受けた空き家は、固定資産税の住宅用地特例(6分の1などの減額)が解除されます

つまり、解体していなくても、勧告を受ければ、更地にしたのと同じように土地の税金が上がるのです。放置は、税金の面でも安全ではありません。

2023年の改正で「管理不全空家」も対象に

さらに、2023年(令和5年)の法改正で、対象が広がりました。国交省の資料によると、この改正は令和5年6月14日に公布、令和5年12月13日に施行されています。

改正のポイントは、「管理不全空家等」という区分が新しく設けられたことです。

  • 特定空家等:すでに倒壊のおそれなど、危険な状態にある空き家
  • 管理不全空家等:そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある空き家(窓が割れている、庭木が伸び放題など、管理が行き届いていない状態)

この改正で、「まだ倒壊寸前ではないが、管理が不十分」な空き家も、勧告を受ければ住宅用地特例が解除されるようになりました。以前より早い段階で、税の軽減が外れる可能性がある、ということです。

行政の流れと、命令違反のペナルティ

市の対応は、いきなり厳しくなるわけではありません。段階を踏みます。

  1. 助言・指導:まず、適切な管理を促されます
  2. 勧告:改善されないと勧告へ。この段階で住宅用地特例が解除され、土地の税金が上がります
  3. 命令:それでも従わないと、除却や修繕などの命令が出されます
  4. 行政代執行:命令にも従わない場合、市が代わりに解体などを行い、その費用は所有者に請求されます

命令に従わなかった場合には、過料(罰金のような金銭的なペナルティ)が科される定めもあります。空家等対策特別措置法では、命令違反に対して50万円以下の過料が定められています。放置し続けることのリスクは、税金だけではないのです。

こうした空き家の管理義務や、相続放棄した場合の扱いについては、相続放棄したら実家・空き家はどうなる?でくわしくまとめています。「解体するか、放置するか」で迷っている方は、あわせてご覧ください。

代表 成田
「解体すると税金が上がるから、放置しておこう」——これは、いちばん避けたい判断です。放置しても、勧告を受ければ結局は特例が外れますし、管理の手間や近隣トラブルのリスクも残ります。解体か、活用か、売却か。税金だけでなく、全体で考えることが大切です。

上げない・取り戻す回避策|跡地の活用・売却タイミング・特例の復活

「更地にすると税金が上がる」——では、その増加を抑えたり、取り戻したりする手はあるのでしょうか。いくつかの考え方をお伝えします。ただし、どれもあなたの土地の状況しだいなので、一般的な方向性としてお読みください。

① 住宅を建て直せば、特例は復活する

住宅用地の特例は、あくまで「住宅が建っている土地」への軽減です。逆に言えば、更地に新しく住宅を建てれば、特例はふたたび使えるようになります

建て替えや、賃貸用のアパートなどを建てて活用する場合は、住宅用地の特例が復活し、土地の税金は軽減された状態に戻ります。「解体=ずっと高い税金」ではなく、「住宅を建てれば戻る」と覚えておいてください。

② 更地で長く年を越さない(売却・活用のタイミング)

前の章でお伝えしたとおり、税金は1月1日の状態で決まります。解体後の更地を、売却や次の活用が決まらないまま何年も持ち続けると、そのあいだ上がった税金を払い続けることになります。

売却の見込みがあるなら、更地にするタイミングと売却時期を近づける。活用の計画があるなら、更地の期間を短くする。こうした段取りで、増税の期間を最小限にできます。

③ 駐車場などで活用する(札幌の需給しだい)

更地を月極駐車場などにして、収入を得ながら保有する方法もあります。ただし、駐車場にしても住宅用地の特例は戻りません(住宅ではないため)。あくまで「上がった税金を、収入でまかなう」という発想です。

札幌市内でも、立地によって駐車場の需要は大きく変わります。中心部や地下鉄駅の近くなら需要が見込めますが、郊外では埋まりにくいこともあります。活用を考えるなら、その土地で本当に借り手がつくか、地元の事情を踏まえて判断してください。

代表 成田
「解体したら税金が上がりっぱなし」ではありません。住宅を建て直せば戻りますし、売却や活用のタイミング次第で、増える期間は短くできます。跡地をどうするかまで見通してから解体する——これがいちばん、あとで後悔しない進め方です。

補助金を使っても損?|「解体費+更地の税増」と、保有・売却のトータルで考える

ここまで読んで、「解体費に補助金が出ても、そのあと税金が上がるなら、結局損なのでは?」と思われた方もいるでしょう。ここは、判断の枠組みだけ整理しておきます。

「解体する」を選ぶときに、並べて考える3つのお金

解体するかどうかは、次の3つを並べて考えると、判断しやすくなります。

  • 解体にかかるお金:解体費(自己負担分)。補助金が使えれば、その分は軽くなります
  • 解体後にかかるお金:更地になったことで上がる土地の固定資産税(この記事で試算した増加分)から、消える建物分の税金を引いたもの
  • 解体しない場合にかかるお金:空き家のまま持ち続ける管理費・修繕費、放置して勧告を受けた場合の税増、近隣トラブルのリスク

大事なのは、「解体後の税増」だけを見て損得を決めないことです。放置し続けても、管理の手間はかかり、勧告を受ければ結局は税金が上がります。「解体する・しない」ではなく、「トータルでどの選択がいちばん負担が軽いか」で考えてください。

数字は、この記事だけで完結しない

正確な判断には、この記事で扱った「税金の増減」に加えて、実際の解体費の相場と、使える補助金の額が必要です。

補助金で解体費が軽くなれば、「解体後に税金が上がっても、トータルでは解体したほうが軽い」というケースは十分にあります。逆に、補助の対象外で解体費が重いなら、いったん保有や売却を検討する余地もあります。3つのお金を、あなたの土地の実額で並べる——これが、後悔しない判断の入口です。

代表 成田
「税金が上がる」の一点だけで解体をあきらめる方がいますが、もったいないことがあります。解体費・補助金・税の増減・放置のリスク——この全部を並べると、答えが見えてきます。数字を並べる整理から、開拓札幌でお手伝いできます。

札幌市に、解体後の減免はある?|確認すべき窓口

最後に、「解体後の税金を軽くする、なにか特別な制度はないのか」という疑問にお答えします。

自治体によっては、独自の減免を設けている

全国を見ると、老朽危険空き家を解体した跡地について、一定期間、固定資産税の増加分を独自に減免する制度を設けている自治体があります(石川県加賀市などの例が知られています)。「危険な空き家を壊してほしいが、税増がネックで進まない」という状況を後押しするための制度です。

ただし、こうした減免があるかどうかは、自治体ごとにまったく異なります。「よその市にあるから、札幌にもあるはず」とは限りません。

札幌の最新の扱いは、市税事務所で確認を

札幌市に、解体後の固定資産税を独自に減免する制度があるかどうかは、制度の有無・条件が変わる可能性があるため、この記事で断定はしません。正確なことは、次の窓口で確認してください。

  • 札幌市の市税事務所(土地の固定資産税・住宅用地特例・減免の相談窓口)。お住まいの区を管轄する市税事務所に問い合わせると確実です
  • あわせて、空き家の解体に関する補助制度(危険空家等除却補助制度)は、札幌市都市局の空き家対策担当が窓口です

「税金がどう変わるか」は市税事務所、「解体費の補助が使えるか」は空き家対策の窓口——と、相談先が分かれる点だけ覚えておくと、動きやすくなります。

代表 成田
減免制度は、あるかないかを思い込みで決めず、必ず市税事務所で確認してください。制度は年度で変わることもあります。開拓札幌にご相談いただければ、「どこに何を聞けばいいか」の整理から、いっしょに進めます。

更地の固定資産税について、よくあるご質問

Q. 解体したら、その月からすぐ固定資産税は上がりますか?

いいえ。固定資産税は、その年の1月1日時点の状態で決まります。年の途中で解体しても、その年いっぱいは(1月1日に住宅があったので)軽減が続き、上がるのは翌年の課税からです。「解体した瞬間に跳ね上がる」わけではありません。

Q. 本当に6倍になりますか?

「6倍」は、200㎡以下の部分について、負担調整措置を考えない場合の理屈上の最大値です。実際には、土地が広い部分(200㎡超)はもともと3分の1の軽減で3倍止まり、更地の課税の基準は評価額の70%が上限、さらに建物分の税金が消えるため、多くの土地では6倍より小さくなります。都市計画税は、最大でも3倍です。

Q. 更地にした土地に、また家を建てれば税金は戻りますか?

はい。住宅用地の特例は「住宅が建っている土地」への軽減なので、更地に住宅を建て直せば、ふたたび特例が使えるようになります。建て替えや賃貸住宅の建築を予定している方は、その点も踏まえて計画してください。

Q. 解体せず、空き家のまま放置すれば税金は安いままですか?

必ずしもそうではありません。倒壊のおそれがある「特定空家等」や、そのおそれがある「管理不全空家等」に指定されて市から勧告を受けると、住宅用地特例が解除され、更地と同じように土地の税金が上がります。放置は、税金の面でも安全ではありません。

Q. 駐車場にすれば、税金の軽減は受けられますか?

いいえ。住宅用地の特例は「住宅」への軽減なので、駐車場にしても特例は戻りません。駐車場活用は「上がった税金を、駐車場収入でまかなう」という考え方になります。借り手がつくかは、立地しだいです。

Q. 自分の土地で、正確にいくら上がるか知りたいです。

毎年届く固定資産税の「課税明細書」で、土地の評価額や現在の課税の基準が確認できます。それをもとに、この記事の試算の考え方(評価額×70%×税率)を当てはめると、更地にした場合の目安が出せます。正確な額は、お住まいの区を管轄する札幌市の市税事務所に問い合わせるのが確実です。

まとめ|「6倍」は最大値。あなたの土地の実額で判断を

最後に、大切なことをもう一度おさらいします。

  • 解体して更地にすると、土地の固定資産税は上がる。ただし「必ず6倍」ではない。①200㎡超は3倍止まり ②更地の課税の基準は評価額の70%が上限 ③建物分の税金は消える——の3つで、実際は6倍より小さくなることが多い
  • 上がる仕組みは「住宅用地の特例」が外れるから。固定資産税は最大6倍・都市計画税は最大3倍
  • 税金は1月1日の状態で決まる。影響が出るのは解体した翌年から。売却・建て替えは、この時期を意識すると負担を抑えられる
  • 放置しても、勧告を受ければ特例は外れる(2023年改正で管理不全空家も対象に)。命令違反には50万円以下の過料も
  • 解体するかは、解体費・補助金・税の増減・放置のリスクをトータルで。減免の有無は札幌市の市税事務所へ確認を

「6倍」という言葉だけで、解体をあきらめる必要はありません。大事なのは、あなたの土地の実際の数字で判断することです。ここまで読んでくださったあなたは、もう正しく判断する材料を手にしています。

開拓札幌では、「解体すべきか、活用か、売却か」の全体像の整理から、ご相談を承っています。特定の業者に肩入れせず、お客さまの状況に合う進め方を、中立の立場でお伝えします。解体を決めた場合は、補助金の段取りや税の時期に詳しい地元の業者だけをご案内します。申し込んだ直後から何社もの営業電話が鳴ることはありません。ご案内するのは、条件に合う1〜2社だけです。

代表 成田
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