「継ぐ人がいない」「お墓が遠くて、もう管理しきれない」「子どもに負担を残したくない」——。そんな思いから墓じまいを考えはじめ、この記事にたどり着かれたのだと思います。
まず、多くの方がいちばん気になる「費用」から、正直にお伝えします。
- 墓じまいの総額は、およそ30万〜300万円と幅が広く、金額のほとんどは「取り出したご遺骨を、次にどこへ納めるか(改葬先)」で決まります
- 費用は大きく①お墓の撤去 ②手続き ③新しい納骨先の3つに分かれ、これに閉眼供養のお布施や、お寺の墓地なら離檀料が加わります
- お金以上に多いのが、親族の同意なしで進めてもめる/離檀料でこじれるといったトラブルです
必要なところから読めます。
- いくらかかるかを知りたい方 → 「費用の総額と内訳」の章へ
- お金が足りないとお悩みの方 → 「費用が払えないとき・抑え方」の章へ
- 何から始めるか知りたい方 → 「進め方6ステップ」の章へ
- 遺骨の行き先(改葬先)で迷っている方 → 「お墓のその後」の章へ
私たち「くらしの味方 開拓札幌」は、札幌の暮らしの困りごとの相談窓口です。
墓じまいは、遺品整理や実家じまいと同じ「家族の暮らしをしまう」作業のひとつ。ご相談も多くいただくテーマです。この記事では、特定の石材店やお寺に肩入れせず、中立の立場で、費用の全体像から進め方までを一枚にまとめました。
墓じまいとは?改葬との違いと、増えている理由
墓じまいとは、いま使っているお墓を解体・撤去して更地に戻し、その区画(墓地の使用権)を管理者に返すことです。ご遺骨を取り出し、お墓そのものを閉じる——ここまでの一連の手続き全体を指します。
「墓じまい」と「改葬」は、指す範囲が違う
似た言葉に「改葬(かいそう)」があります。混同されがちですが、指す範囲が違います。
- 墓じまい:お墓を撤去して更地にし、使用権を返すこと(=お墓を閉じる作業の全体)
- 改葬:取り出したご遺骨を、別の場所へ移して納め直すこと(=遺骨の引っ越し)
つまり、墓じまいをすると、取り出したご遺骨の新しい行き先が必ず必要になります。そして、その遺骨を移す手続きが「改葬」です。ご遺骨を勝手に処分したり、墓地以外の場所に埋めたりすることは、法律(墓地埋葬法)で禁じられています。だから墓じまいは、「遺骨の次の行き先(改葬先)を決めてから進める」のが鉄則です。
墓じまいは、なぜ増えているのか
墓じまいは、決してめずらしい選択ではなくなりました。それを裏づけるのが、国の統計です。
厚生労働省の「衛生行政報告例」(政府統計 e-Stat)によると、改葬(=ご遺骨を別の場所へ移す手続き)の件数は、令和5年度(2023年度)に全国で166,886件と、統計上の過去最多を記録しました。平成23年度(2011年度)の76,662件と比べると、およそ12年で2倍以上に増えています。ここ数年の伸びはとくに急で、令和3年度の118,975件から令和4年度は151,076件、令和5年度は166,886件へと、毎年のように過去最多を更新しています。
| 年度 | 改葬件数(全国) |
|---|---|
| 平成23年度(2011) | 76,662件 |
| 令和3年度(2021) | 118,975件 |
| 令和4年度(2022) | 151,076件 |
| 令和5年度(2023) | 166,886件(過去最多) |
※出典:厚生労働省「衛生行政報告例」(生活衛生・改葬数)。数値は全国の年度合計で、改葬許可の件数(ご遺骨の体数ベース)です。撤去されたお墓の基数とは一致しません。
背景にあるのは、次のような事情です。
- 継ぐ人がいない:少子化や核家族化で、お墓を受け継ぐ後継者がいない・決まらない家庭が増えました
- お墓が遠い:進学や就職で地元を離れ、先祖代々のお墓が遠方になり、お参りや管理が難しくなった
- 子どもに負担を残したくない:「自分の代で区切りをつけたい」と、元気なうちに墓じまいを選ぶ方が増えています
- 無縁墓を避けたい:管理する人がいなくなったお墓は「無縁墓」として撤去され、ご遺骨は他の方と一緒の合祀墓に移されます。そうなる前に、と考える方が多いのです
「うちだけかもしれない」と感じる必要はありません。同じ悩みで動き出す方は、年々増えています。
墓じまいの費用の総額と内訳を分解する
いちばんの不安である費用を、正直にお伝えします。墓じまいの総額は、およそ30万〜300万円が目安です。
「幅が広すぎて、参考にならない」と思われたかもしれません。じつは、この幅の大半は「取り出したご遺骨を、次にどこへ納めるか(改葬先)」で決まります。合祀(他の方と一緒に納める形)なら数万円、新しくお墓を建て直せば200万円超——ここだけで、総額が10倍近く変わるのです。
だからこそ、「墓じまいは○○円」というひとつの数字で判断せず、費用を分解して見るのがいちばん誠実です。墓じまいの費用は、大きく3つのかたまりに分かれます。
| 費用のかたまり | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| ① お墓の撤去にかかる費用 | 墓石の解体・撤去、更地に戻す工事、閉眼供養のお布施、(お寺なら)離檀料 | 約23万〜50万円 |
| ② 手続きにかかる費用 | 改葬許可などに必要な書類の発行手数料 | 数百円〜2,500円ほど |
| ③ 新しい納骨先(改葬先)の費用 | 永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨など、遺骨の次の行き先の費用 | 約5万〜250万円 |
※お墓の状況・宗派・地域・選ぶ改葬先によって変わる目安です。①の下限は、離檀料がかからない小さな区画のケースで、お寺の墓地で離檀料が加わる一般的なケースでは30万〜50万円ほどが目安です。正確な金額は、石材店の見積りと改葬先の料金で確認してください。
この3つを、さらに細かく見ていきます。金額を動かすポイントが分かると、「どこを抑えれば安くなるか」も見えてきます。
① お墓の撤去にかかる費用(墓石撤去・閉眼供養・離檀料)
お墓を閉じる作業そのものにかかる費用です。中身は、次の3つです。
- 墓石の撤去・更地工事:1㎡あたり10万〜15万円ほどが相場です。石材店が墓石を解体・撤去し、区画を更地に戻して管理者へ返せる状態にします。ご遺骨の取り出しも石材店に頼む場合は、別途3万〜5万円ほどかかることがあります
- 閉眼供養(へいがんくよう)のお布施:3万〜10万円ほど。お墓に宿った魂を抜く「魂抜き」の法要で、お坊さんにお渡しするお礼です(金額に決まりはありません)
- 離檀料(りだんりょう):お墓がお寺の墓地にある場合のみ。檀家をやめる際に、これまでのお礼として包む慣習的なお金です。目安は無料〜20万円ほどとされますが、法律で定められたものではなく、支払いの義務があるお金ではありません
撤去工事は、次のような条件では相場より高くなります。
- 墓地の通路が狭く、重機が入れない(人力作業になる)
- お墓が山の斜面や奥まった場所にある
- 一区画に墓石が何基も並んでいて、まとめて撤去する必要がある
逆に言えば、こうした条件がなければ、撤去費用は相場に収まりやすいということです。
② 手続きにかかる費用(書類の発行手数料)
意外に思われるかもしれませんが、行政手続きそのものにかかるお金は、ごくわずかです。
ご遺骨を移すには「改葬許可証」が必要で、その発行のために書類をそろえますが、手数料は合計で数百円〜2,500円ほど。金額面では、ほとんど気にしなくて大丈夫です。手続きの中身(何を、どの順番でそろえるか)は、後の「必要な手続き」の章でくわしく説明します。
③ 新しい納骨先(改葬先)の費用
そして、総額を最も大きく左右するのが、この改葬先の費用です。取り出したご遺骨をどこに納めるかで、金額はまったく変わります。おおよその目安は、次のとおりです。
| 改葬先 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 合祀(ごうし)の永代供養墓 | 約5万〜30万円 | 他の方と一緒に納める。最も安いが、後から取り出せない |
| 個別の永代供養墓 | 約10万〜150万円 | 一定期間は個別、その後に合祀される形が多い |
| 納骨堂 | 約10万〜150万円 | 屋内で天候に左右されずお参りできる |
| 樹木葬 | 約20万〜80万円 | 樹木や草花の下に納める。自然志向の方に |
| 散骨 | 約5万〜70万円 | 粉状にして海などにまく。維持費がかからない |
| 新しくお墓を建て直す | 約80万〜250万円 | 「お墓の引っ越し」。従来どおりお参りできる |
※改葬先で納骨する際に、開眼供養(魂入れ)のお布施が3万〜10万円ほど別途かかることがあります。
それぞれのメリット・デメリットや、向いている人は、後の「お墓のその後」の章で改めて整理します。ここで押さえておきたいのは、「総額を決めるのは改葬先。ここを先に考えると、予算が立てやすい」ということです。
費用は誰が払う?お金が足りないときの、抑え方と対処法
「まとまったお金は用意できない」——墓じまいを迷う理由として、とても多いお悩みです。ここでは、費用を誰が負担するのか、そして足りないときにどうするかを、具体的にお伝えします。
費用は誰が払う?——決まりはあるが、絶対ではない
一般的には、お墓を受け継いだ人(承継者)が負担するケースが多く見られます。お墓を管理する権利を持つのが承継者だからです。民法でも、お墓などを引き継ぐ人(祭祀承継者)の決め方が定められています。
ただし、これは絶対のルールではありません。実際には、兄弟姉妹や親族で費用を分け合うことも多く、割合に決まりもありません。だからこそ、後でもめないよう、「誰が・いくら出すか」を最初に話し合っておくことが大切です。中には、親が終活の一環で、生前に自分のお墓の撤去費用を用意しているケースもあります。まずは遺言や貯金を確認してみてください。
お金が足りないときの、4つの対処法
費用が用意できないとき、打てる手はいくつかあります。
- いちばん安い改葬先を選ぶ:前章のとおり、総額を決めるのは改葬先です。合祀の永代供養墓なら5万円ほどから納められます。撤去費用は削りにくいぶん、改葬先を合祀にするだけで総額が大きく下がります
- 親族に相談して分担する:ひとりで抱え込まず、費用を分け合えないか相談してみましょう。お墓は親族みんなに関わるものです
- お寺(管理元)に事情を話す:お墓がお寺にある場合、正直に事情を伝えると、離檀料やお布施を考慮してもらえることもあります
- メモリアルローンを検討する:銀行によっては、お墓や葬儀の費用に使える「メモリアルローン」があります。審査は必要ですが、一時的な立て替えの選択肢になります
なお、「墓じまいに補助金は出ますか」というご質問をよくいただきますが、墓じまいの費用そのものに使える公的な補助金は、基本的にありません。ごく一部の自治体が、無縁墓対策として墓石撤去費の一部を助成する例はありますが、対象は限定的で、実施していない年もあります。「補助金が出る」と当てにして計画を立てるのは避け、あくまで「使えたらラッキー」くらいに考えて、お住まいの自治体に念のため確認する、という順番が安全です。
放置すると、かえって負担が増える
「お金がないから、しばらく放っておく」——気持ちは分かりますが、放置はおすすめできません。
管理費が払われずお墓が放置されると、やがて「無縁墓」とみなされ、管理者の手で撤去され、ご遺骨は他の方と一緒の合祀墓へ移されます。一度合祀されると、ご遺骨を個別に取り出すことはできません。さらに、公営墓地などでは、滞納した管理費や撤去費用を、後から親族に請求されるケースもあります。「元気なうちに、自分の手で区切りをつける」ほうが、結果的に費用も気持ちの負担も軽く済む——これが、墓じまいを考えるうえでの大事な視点です。
墓じまいの進め方【6ステップ】
「何から手をつければいいのか」——ここがいちばん迷うところです。墓じまいは、次の6つのステップで進めます。順番を守ることが、トラブルを防ぐいちばんのコツです。
ステップ1:親族・承継者の同意を得る
最初にすべきは、書類でも見積りでもなく、親族との話し合いです。お墓への思いは人それぞれ。「先祖代々のお墓を撤去するなんて」と感じる方もいます。承継者が独断で進めてしまうと、後で深刻なトラブルになりかねません。
「なぜ墓じまいを考えたのか」「この後、ご遺骨をどう供養するのか」を丁寧に伝え、費用の分担まで含めて、関係する親族の同意を得ておきましょう。誰のご遺骨が何体入っているかも、この段階で確認しておくとスムーズです。
ステップ2:墓地の管理者に連絡する
同意が得られたら、いまのお墓の管理者(お寺の住職、霊園の管理事務所など)に、墓じまいの意向を伝えます。ここで、ご遺骨が納められていることを証明する「埋葬証明書(埋蔵証明書)」を発行してもらいます。
とくにお寺の墓地の場合は、伝え方が大切です。長年お世話になった感謝とともに、事情を誠実に伝えましょう。いきなり事務的に切り出すと、離檀料をめぐってこじれることがあります。
ステップ3:新しい納骨先(改葬先)を決める
取り出したご遺骨の行き先を決めます。永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨など、選択肢はさまざまです(次章でくわしく整理します)。改葬先が決まったら、その管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。
順番として、改葬先が決まらないと墓石の撤去に進めません。ここは早めに動くのがおすすめです。
ステップ4:改葬許可を取得する
「埋葬証明書」(今のお墓から)と「受入証明書」(改葬先から)をそろえ、今のお墓がある市区町村の役所に「改葬許可申請書」を提出して、「改葬許可証」を受け取ります。この許可証がないと、ご遺骨を動かせません。必要書類や自治体ごとの違いは、次章と別記事で整理します。
ステップ5:閉眼供養をして、墓石を撤去する
改葬許可証がそろったら、お坊さんに閉眼供養(魂抜き)をしてもらい、ご遺骨を取り出します。その後、石材店が墓石を解体・撤去し、区画を更地に戻して管理者へ返還します。閉眼供養と撤去工事は、同じ日にまとめて行うと、遠方でも一度で済みます。
ステップ6:改葬先へ納骨する
最後に、取り出したご遺骨を新しい改葬先へ納めます。新しくお墓を建てた場合などは、開眼供養(魂入れ)を行うのが一般的です。これで、墓じまいと改葬の一連の流れが完了します。
必要な手続き=「改葬許可」の全体像
墓じまいで唯一の行政手続きが、この改葬許可です。むずかしそうに聞こえますが、やることは「3枚の書類をそろえて役所に出す」だけ。まず全体像だけ押さえておきましょう。
必要な書類は、この3つ
改葬許可証を受け取るために、次の3つの書類をそろえます。
- 埋葬証明書(埋蔵証明書):今のお墓の管理者に発行してもらう(ご遺骨が納められている証明)
- 受入証明書:新しい改葬先の管理者に発行してもらう(遺骨を受け入れる証明)
- 改葬許可申請書:今のお墓がある市区町村の役所で入手(窓口・郵送・ホームページからダウンロードも可)
この3つを、今のお墓がある市区町村の役所に提出すると、「改葬許可証」が発行されます。この許可証を改葬先に提出して、ようやく納骨できる——という流れです。
知っておきたい、手続きの注意点
- 提出先は「今のお墓がある自治体」:自分が住んでいる場所ではなく、お墓のある市区町村です。遠方の場合は郵送で対応できるか確認しましょう
- 自治体によって書式・必要書類が微妙に違う:受入証明書が不要だったり、申請書に管理者の署名・捺印を求められたりします。まずお墓のある役所のホームページで確認するのが確実です
- 散骨・手元供養だけの場合:新しいお墓に納骨しないケースでは、改葬許可証が不要なこともあります。ただし自治体によって扱いが異なるため、事前に役所に確認してください
必要書類の細かい書き方、自治体ごとの違い、郵送での取り寄せ方などは、改葬許可の手続きにしぼった別記事「改葬許可証の取り方」でくわしく解説しています。ここでは「3枚の書類をそろえて、お墓のある役所に出す」という全体像だけ、頭に入れておけば十分です。
お墓のその後——改葬先(遺骨の行き先)の選び方
墓じまいの総額を左右し、そして「これからの供養のかたち」を決めるのが、改葬先選びです。主な選択肢を、費用・特徴・向いている人で整理します。
| 改葬先 | 費用の目安 | 特徴・向いている人 |
|---|---|---|
| 永代供養墓 | 約5万〜150万円 | 寺院・霊園が家族に代わって管理・供養してくれる。継ぐ人がいない方に。合祀か個別かで費用が大きく変わる |
| 納骨堂 | 約10万〜150万円 | 屋内にご遺骨を納める。天候を気にせずお参りでき、駅近も多い。都市部で通いやすさを重視する方に |
| 樹木葬 | 約20万〜80万円 | 樹木や草花の下に納める。自然に還りたい方に。多くは一度納めると取り出せない |
| 散骨 | 約5万〜70万円 | 粉状にして海などにまく。維持費がかからない。手元に遺骨を残したくない方に。ルールに沿って業者に依頼する |
| 手元供養 | 数百円〜50万円 | 小さな骨壺やペンダントで自宅に置く。故人を近くに感じたい方に。将来の行き先は別途考える必要がある |
| お墓を建て直す | 約80万〜250万円 | 「お墓の引っ越し」。従来どおり個別にお参りしたい方に。費用は最も高い |
※開眼供養(魂入れ)のお布施が別途かかる場合があります。
選ぶときに大事なのは、「費用」と「取り出せるかどうか」の2点です。合祀(他の方と一緒に納める形)は費用を大きく抑えられますが、一度納めると個別に取り出せません。「安いから」と即決せず、親族ともう一度確認してから決めるのが、後悔しないコツです。
なお、お墓と一緒に、家の中のお仏壇や位牌も手放したいという方も少なくありません。魂抜き(閉眼供養)の考え方はお墓と共通しています。進め方は「仏壇の処分・仏壇じまい完全ガイド」「位牌の処分方法」で解説しています。
後悔しないために——よくあるトラブルと、防ぎ方
墓じまいでつまずくのは、多くの場合「お金の額」そのものより、人との関係です。代表的なトラブルと、その防ぎ方を整理します。
トラブル1:親族の同意を得ずに進めてもめる
最も多いのが、これです。承継者が良かれと思って進めても、他の親族から「勝手に決めた」「先祖に申し訳ない」と反発され、関係が悪くなってしまう——。
防ぎ方はシンプルで、着手前に、関係する親族へ丁寧に説明して同意を得ておくこと。費用の分担や、遺骨をどう供養するかまで話し合い、できれば決めた内容をメモに残しておくと安心です。
トラブル2:離檀料をめぐって、お寺とこじれる
お寺の墓地では、離檀料の伝え方しだいでこじれることがあります。まれに、相場を大きく超える高額を求められた、という声もあります。
大前提として、離檀料は法律で定められた義務ではありません。ただし、長年供養してもらった感謝を込めて包むのが慣習であり、いきなり「払いません」と切り出すのも、円満とは言えません。相場感を持ったうえで、まずは誠実に事情を伝えること。それでも折り合わない・高額を求められる場合の考え方は、離檀料にしぼった別記事で改めて整理する予定です。
トラブル3:安さだけで石材店を選び、不法投棄に巻き込まれる
撤去した墓石は「産業廃棄物」として、許可を持つ業者が適正に処分する必要があります。ところが、相場より極端に安い業者の中には、撤去した墓石を不法投棄するケースもあり、過去に問題になっています。
石材店を選ぶときは、次を確認してください。
- 複数の石材店から見積りを取り、比べる(1社だけで即決しない)
- 撤去した墓石を、どこでどう処分するか説明できるか(許可の裏づけがあるか)
- 見積りが「一式」でなく、項目ごとに示されているか
なお、お寺や霊園によっては、依頼できる石材店が指定されている場合があります。先に管理者へ確認しておくと、二度手間になりません。
お墓だけでなく、親の家や遺品もこれから片づける、という方は、あわせて「実家じまいとは?進め方7ステップと費用の全体像」もご覧ください。家・遺品・お墓を、一つの流れとして考えられます。
墓じまいについて、よくあるご質問
Q. 墓じまいには、どのくらいの期間がかかりますか?
親族の同意、改葬先探し、書類の準備、工事の日程調整まで含めると、数か月かかることが多いです。とくに改葬先選びと親族の話し合いに時間がかかりがちなので、早めに動き始めると安心です。
Q. 遺骨を、自分で処分することはできますか?
できません。ご遺骨を勝手に捨てたり、墓地以外の場所に埋めたりすることは、法律(墓地埋葬法・刑法)で禁じられています。必ず、改葬先(永代供養墓・納骨堂・散骨など)に納める必要があります。
Q. お墓が遠方にあり、何度も通えません。
遠方のお墓でも、閉眼供養と墓石の撤去を同じ日にまとめられれば、現地に行く回数を減らせます。改葬許可の書類も、多くの自治体で郵送に対応しています。石材店や役所に、遠方であることを先に伝えて段取りを相談してみてください。
Q. お寺に「墓じまいはできない」と言われました。
墓じまい(改葬)は、法律に沿って手続きを踏めば行える、正当な権利です。ただし、感情的にこじれると話が進みにくくなります。まずは事情と感謝を丁寧に伝えること。どうしても折り合わない場合は、自治体の相談窓口や専門家に相談する方法もあります。
Q. 費用をできるだけ抑えたいのですが、どこを削れますか?
最も効くのは改葬先を合祀(他の方と一緒に納める形)にすることです。合祀の永代供養墓なら5万円ほどから納められます。あわせて、石材店の相見積りで撤去費を比べるのも有効です。ただし合祀は後から取り出せないので、親族と確認のうえで決めてください。
Q. 墓じまいと一緒に、仏壇や位牌も手放せますか?
はい。お墓の閉眼供養と同じ「魂抜き」の考え方で、仏壇や位牌もご供養して手放せます。進め方は「仏壇じまいの完全ガイド」で解説しています。遺品整理とあわせて進めたい方は、お焚き上げでのご供養(「札幌のお焚き上げ」)も参考になります。
まとめ|墓じまいは「費用の分解」と「親族の合意」で決まる
最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 墓じまいの総額はおよそ30万〜300万円。幅の大半は「改葬先(遺骨の次の行き先)」で決まる。費用は①撤去 ②手続き ③改葬先に分解して考える
- お金が足りないときは、改葬先を合祀にして総額を抑える・親族で分担するのが現実的。補助金は基本なし。放置は次の世代の負担になる
- 進め方は6ステップ。とくに「親族の同意」と「改葬先決め」は早めに。行政手続きは改葬許可(書類3枚)だけ
- トラブルの多くはお金より人間関係。親族の合意・お寺への誠実な説明・石材店の相見積りで防げる
墓じまいは、ご先祖様との関係に区切りをつける、大切な作業です。だからこそ、金額の安さだけでなく、「納得して進められるか」を大事にしていただきたいと思います。
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