故人に借金があった、あるいは実家や部屋の片付けを負担できない——そうした事情で、相続放棄を考えている方は少なくありません。
そのとき、いちばん気をつけてほしいことがあります。よかれと思って、故人のお部屋を片付けてしまわないでください。
相続放棄をするなら、遺品整理・片付けには「してはいけないこと」があります。
順番をまちがえると、相続放棄そのものができなくなり、(借金があれば)その負債まで引き継いでしまうこともあるのです。
まず、この記事の結論を早見表でお伝えします。
| やってOK(放棄に影響しない範囲) | NG(放棄が無効になる恐れ) |
|---|---|
| 明らかなゴミ・傷んだ生鮮食品の廃棄 | 家・車など価値ある財産の売却、名義変更 |
| 写真・手紙など思い出の品を、少量、形見に受け取る | 貴金属・時計・骨董など価値ある品の売却や、形見分けの範囲を超える持ち帰り |
| 遺品の現状を確認する(動かさず見る) | 家財道具一式の処分・遺品整理の発注 |
| — | 故人の預金の引き出し・支払いへの使用 |
| — | 相続人自身による賃貸の解約(財産である契約に手をつける行為とされることがあるため。※賃貸の章でくわしく) |
※迷ったら、動かさないでください。「価値がないと思って捨てたら、実は価値があった」ということも起こります。判断に迷う品は、そのままにして専門家にご相談を。賃貸の解約・大家さんへの対応・実家の管理は、それぞれ後の章でくわしく説明します。
読者のみなさんの状況に合わせて、必要なところから読めます。
- 「黙って片付けたら、バレるのでは?」が不安な方 → 「バレる」の章へ
- 賃貸で、大家さんに片付け・解約を迫られている方 → 「賃貸」の章へ
- 実家(持ち家)の管理義務が心配な方 → 「実家」の章へ
- もう家財を処分してしまった方 → 「リカバリー」の章へ
私たち「くらしの味方 開拓札幌」は、札幌で遺品整理の相談窓口を運営しています。だからこそ、正直にお伝えします。
私たちは、相続放棄を検討中の方に、無理に片付けをおすすめしません。 まずは正しい順番を知ってから、動いてください。
相続放棄するなら、なぜ「片付け」が危険なのか
まず、なぜ片付けが危険なのか。その理由を、はっきりさせておきます。
相続放棄とは、故人の財産をプラス(預貯金・不動産)もマイナス(借金)も、すべて受け継がないことを、家庭裁判所に申し立てる手続きです。借金のほうが多いときなどに使われます。
- 期限は、自分が相続人になったと知った時から3ヶ月以内(民法915条)
- 家庭裁判所への「相続放棄の申述」という手続きが必要
- 一度受理されると、原則として撤回はできません(民法919条)
遺品を片付けると「相続を承認した」とみなされる(法定単純承認)
ここが、いちばん大切なポイントです。
相続放棄を考えているなら、故人の財産を売ったり、処分したり、使ったりしてはいけません。
なぜなら、相続財産の全部または一部を「処分」すると、「相続を単純承認した(=すべて受け継ぐと認めた)」とみなされ(法定単純承認・民法921条)、相続放棄ができなくなるからです。
そして、放棄ができなくなるということは——故人に借金があれば、それも、そのまま引き継ぐことになりかねないということです。
「部屋を片付けただけなのに、借金を相続することになった」。これが、相続放棄でいちばん多い失敗です。だからこそ、放棄を少しでも考えているなら、片付け・処分・売却の前に、まず手を止める。これが鉄則です。
【要注意】黙って片付けたら「バレる」?相続放棄が無効になる4つのきっかけ
「こっそり片付けたり、形見を持ち帰ったりしても、どうせバレないのでは?」——正直、そう考えてしまうお気持ちも、わかります。ここでは、その疑問に正面からお答えします。
まず、大前提。「バレる・バレない」の問題ではありません
いちばん大切なことをお伝えします。相続放棄が無効になるかどうかは、「バレるかどうか」ではなく、「処分にあたる行為をしたかどうか」で決まります。
自分が相続人になったと知りながら、価値ある遺品を処分したり、売ったりすると、その時点で、法律上は「相続を承認した」ことになってしまいます(法定単純承認)。
それが誰かに知られるかどうかは、別の話です。放棄を考えている時点で、この「知りながら」という条件は、ほぼ当てはまります。
そして、放棄が無効になって困るのは、ほかでもないあなた自身——借金があれば、それを背負うことになるのは、あなたなのです。
だからこそ、「バレなければいい」ではなく、「そもそも手をつけない」が、唯一の安全策です。
とはいえ、実際にどこから発覚するのか
そのうえで、「実際に、どこから知られてしまうのか」も知っておいてください。おもに、次の4つのきっかけがあります。
- 債権者(お金を貸していた業者)の調査:故人に貸したお金を回収したい業者は、相続人や財産の状況を調べます。「放棄したはずなのに、財産を処分している」と分かれば、単純承認を主張してくることがあります
- ほかの相続人からの指摘:相続をめぐってほかの相続人と話がこじれた場合、「あの人が遺品を勝手に処分した」と家庭裁判所に指摘されることがあります
- 相続財産清算人の調査:相続人がいなくなったとき(全員が相続放棄した場合を含む)、家庭裁判所が「相続財産清算人」を選ぶことがあります。この清算人が財産を調べる過程で、処分の事実が明らかになることがあります
- 遺品整理業者に残る記録:ここは、業者側の実務を知っているからこそ、正直にお伝えします。遺品整理を頼むと、契約書・買取の明細・作業前後の写真などの記録が残ります。これらは、後から見れば「価値ある財産を処分した証拠」になり得ます(業者が誰かに知らせる、という意味ではありません。ただ、記録は残る、ということです)
「もう放棄したから大丈夫」も、安全ではありません
「放棄の手続きが終わったあとなら、片付けても平気では?」とも思われるかもしれません。ですが、放棄したあとでも、故人の財産を隠したり、こっそり自分のために使ったり(私的に消費したり)すれば、単純承認とみなされることがあります(民法921条3号)。これは、放棄によって本来その財産を受け取るはずだった人を裏切る行為だから、と考えられています。放棄の前後を問わず、価値ある財産には手をつけない——これが原則です。
やってOK・NGの完全リスト|判断の軸は「お金に換わる価値があるか」
早見表でざっとお見せしましたが、ここでは一つずつ、くわしく整理します。
判断の軸は、たったひとつ。「その物・行為に、客観的に見て”お金に換わる価値”があるかどうか」です。
気をつけたいのは、「自分が古いと思うから無価値」という主観で決めてはいけないこと。他人から見て値段がつくものは「価値あり」です。迷ったら「価値あり」として扱い、手をつけないのが安全です。
やってもOKなこと(処分にあたらない)
次のような行為は、原則として「処分」にあたらず、相続放棄に影響しにくいとされています。
- 明らかなゴミ・傷んだ生鮮食品の廃棄:誰が見ても価値のないもの、放っておくと腐るものの処分
- 財産を”守る”ための行為(保存行為):雨漏りの応急処置や鍵の管理など、財産を今の状態に保つための行為(民法921条1号ただし書きで「処分」から除かれています)
- 価値のない写真・手紙などを、少量、形見として受け取る:お金に換えられない思い出の品を、常識的な範囲で
- 遺品の状態を、動かさずに確認する
やってはいけないこと(処分にあたる)
次のような行為は、「処分」とみなされ、相続放棄ができなくなる恐れがあります。
- 不動産・自動車の売却や、名義変更
- 価値ある動産の売却・持ち帰り:貴金属・時計・骨董・ブランド品・比較的新しい家電など、値段がつくもの
- 家財道具一式の処分や、遺品整理業者への発注
- 故人の預金の引き出し・支払いへの使用(借金の返済に充てるのも同じです。ただし、あなた自身のお金で立て替えて払うぶんには、故人の財産に手をつけていないため、問題になりにくいとされています)
- 相続人自身による、賃貸の解約(処分にあたるかは見解が分かれ、避けるのが安全。※賃貸の章でくわしく説明します)
迷いやすい「グレーゾーン」は、専門家へ
はっきり白黒つけにくい、グレーな行為もあります。代表的なのが、葬儀費用です。
社会的にみて相当な範囲の葬儀費用であれば、故人の預金から支払っても処分にはあたらない、とした裁判例があります(大阪高裁 平成14年7月3日決定。仏壇・墓石の費用を含めて認めた事案です)。
ただし、その範囲を明らかに超える高額な支出は、処分とみなされるリスクがあります。金額の線引きは難しいので、故人の預金に手をつける前に、必ず専門家へご相談ください。
こうしたグレーな行為は、自己判断が禁物です。少しでも迷ったら、片付け・支払いの前に、弁護士や司法書士に確認してください。
【賃貸】大家さんに片付け・解約を迫られたら、どうする?
故人が賃貸にお住まいだった場合、大家さんや管理会社から「早く荷物を片付けて、部屋を明け渡してほしい」と迫られることがあります。相続放棄を考えているなら、ここで安易に応じてはいけません。
相続人が「解約」や「残置物の撤去」をすると、処分になりかねない
賃貸を借りる権利(賃借権)も、故人の相続財産です。そして、お部屋に残された家財(残置物)も同じです。
そのため、残された家財(残置物)を相続人が撤去・処分すると、「処分」とみなされ、放棄ができなくなる恐れがあります。賃貸契約の解約そのものについても、処分にあたるとする見方があり、避けるのが安全です。大家さんに急かされても、片付け・解約は、放棄するかどうかが決まるまで、しないでください。
大家さんへの、正しい断り方
では、どう対応すればいいか。
「相続放棄を考えている(または、した)ので、お部屋の片付けや解約には応じられません」と、はっきり伝えることです。
相続人全員が相続放棄すると、その後の賃貸契約の解消や残置物の処理は、相続人ではなく、大家さん側や、家庭裁判所が選ぶ「相続財産清算人」に委ねることになります。たとえば、家賃の不払いなどを理由に大家さんが契約を解除したり、利害関係者(大家さんなど)が家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、その清算人が残置物を処理する、といった形です。
いずれにせよ、相続人であるあなたが、代わりに片付ける必要はありません。心苦しく感じるかもしれませんが、相続放棄をするなら、これが正しい順番です。
「連帯保証人」になっている場合は、話が別です
ただし、注意が必要なケースがあります。あなたが、故人の賃貸契約の連帯保証人にもなっている場合です。
連帯保証人としての義務(未払い家賃や原状回復の費用を払う義務)は、相続放棄をしても消えません。 これは、相続で引き継いだ債務ではなく、あなた自身が保証人として負った債務だからです。
- 相続放棄:故人の財産・借金を受け継がない
- 連帯保証:あなた自身が負った、別の約束
この2つは、まったく別物です。連帯保証人の場合は、放棄をしても家賃などの支払いが残ることがあるので、早めに専門家に相談してください。
「敷金は返すので受け取って」と言われても
大家さんから「敷金を精算して返すので、受け取ってください」と言われることがあります。ですが、敷金が戻ってくる権利(敷金返還請求権)も、故人の相続財産の一つです。放棄を考えている段階でこれを受け取ると、故人の預金を引き出すのと同じように「処分」とみなされる恐れがあります。放棄するかどうかが決まるまでは、敷金も受け取らないでください。
電気・ガス・水道の解約は?
「ライフラインを止めるのも、処分になる?」と心配になるかもしれません。電気・ガス・水道の解約は、価値ある財産を手放す「処分」というより、無駄な支払いを止めて財産を守る、管理・整理に近い行為と考えられ、放棄の障害になりにくいとされています。ただし、未払い分を故人の預金から精算するのは避け、支払う場合はご自身のお金で立て替えてください。判断に迷うなら、専門家に確認すると安心です。
【実家】相続放棄しても”管理義務”は残る?改正民法940条の正体
「実家を相続放棄したら、もう一切関わらなくていい」——そう思っている方が多いのですが、これは正確ではありません。かといって、ネットでよく見る「放棄しても管理義務が残るから、結局は片付けなきゃいけない」という説明も、今は間違いです。
ここは、多くの記事が間違えているところなので、正確にお伝えします。
保存義務があるのは「現に占有している人」だけ(2023年の改正)
2023年4月に施行された改正民法(940条)で、相続放棄をした人の義務は、こう変わりました。
放棄の時に、その財産を「現に占有している」場合に限って、次に引き継ぐ人(相続人や相続財産清算人)に渡すまで、財産を保存する義務を負う——というルールです。
ポイントは、「放棄した時点で、その財産を現に自分の手元に置いていたか」という点です。
- 放棄した時点で、実家に住んでいた・鍵を管理していた → 現に占有している → 保存義務あり
- 放棄した時点で、遠方に住み、実家に鍵も持たず、住んでもいなかった → 占有していない → 保存義務は、原則ない
つまり、「相続放棄すれば、どんな相続人にも管理義務が残る」というのは誤りです。占有していない相続人にまで、義務が自動的に及ぶわけではありません。ここを、多くの記事が古い理解のまま間違えています。
「保存義務」は、「片付け義務」ではありません
もうひとつ、大切な区別があります。
仮に保存義務があったとしても、それは「財産を今の状態に保つ(悪化させない)」義務であって、「片付ける・処分する」義務ではありません。
- 保存義務ですること:勝手に処分せず、現状を維持する(雨漏りを放置しないなど)
- 保存義務でしないこと:遺品整理・家財の処分(むしろ、放棄後でも価値ある財産を勝手に処分すると、単純承認とみなされるリスク)
「管理義務がある → 片付けなきゃ → でも片付けると放棄が無効」という、苦しいループに陥っている方がいます。
ですが、そもそも片付ける義務はありません。
完全に手を離すには、どうする?
では、占有していて保存義務がある場合、いつまで続くのか。次のどちらかで、義務から解放されます。
- 次に相続人になる人(次順位の相続人)がいれば、その人に引き渡す
- 次順位の相続人もいない(全員が放棄したなど)ときは、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、選ばれた清算人に引き渡す(※申し立てには、予納金などの費用がかかることがあります)
実家・空き家そのものの管理・税金は、別の問題
なお、実家が持ち家(空き家)の場合、建物の管理・固定資産税など、遺品整理とは別の論点も出てきます。これらは、この章の「保存義務(940条)」とは別の問題です。
相続放棄が受理されれば、あなたははじめから相続人でなかったものとして扱われるため(民法939条)、承継人として固定資産税を負う立場には、原則なりません(ただし課税の実務上、通知が届くことはあります)。
範囲が広いので、建物や土地・固定資産税の扱いは相続放棄したら実家・空き家はどうなる?でくわしく解説しています。この記事では、「家の中のもの(遺品・家財)をどうするか」に絞ってお伝えしています。
【もう家財を処分してしまった方へ】相続放棄は、まだ間に合うかもしれません
「この記事を読む前に、もう家財を片付けてしまった」「形見に、いくつか持ち帰ってしまった」——そういう方も、いらっしゃると思います。どうか、諦めないでください。 まだ、相続放棄ができる可能性は、十分にあります。
処分したものに「価値がなければ」、放棄はできます
思い出してください。判断の軸は、「処分したものに、客観的なお金の価値があったか」でした。
- 明らかなゴミ、傷んだ生活用品、値のつかない衣類などを処分しただけ → 原則として「処分」にあたらず、相続放棄はなお可能と考えられています(※ただし「無価値だ」というご自身の判断が正しいかは、念のため専門家に確認を)
- 価値のない写真・手紙を、少し持ち帰っただけ → 同じく、問題になりにくいとされています
つまり、捨てたもの・持ち帰ったものが「お金に換わらないもの」なら、放棄への影響は小さいのです。「片付けてしまった=即アウト」では、決してありません。
ただし、注意してほしいことがあります。処分したものに価値がなくても、放棄そのものには「知った時から3ヶ月以内」という期限(民法915条)があり、これは片付けをしたかどうかに関係なく進んでいます。
まだ申し立てていない方は、期限にも気をつけて、早めに動いてください。逆に、すでに3ヶ月を過ぎてしまった方も、「借金があると知らなかった」などの事情によっては、なお放棄が認められる場合があります。諦める前に、一度専門家にご相談を。
価値あるものを処分してしまった場合は、すぐ専門家へ
一方で、貴金属・時計・価値ある家具・自動車など、お金に換わるものを処分・売却してしまった場合は、単純承認とみなされるリスクがあります。
ですが、この場合も、自分だけで「もうダメだ」と諦めないでください。
- まだ相続放棄を申し立てていないなら、早めに弁護士・司法書士に相談を。事情によっては、家庭裁判所に上申書(事情を説明する書面)を添えることで、放棄が認められる場合があります
- すでに申し立て・受理されている場合も、油断はできません。家庭裁判所の受理は「放棄を確定させる裁判」ではなく、あとから債権者などが「単純承認にあたる処分があった」と主張して、裁判で放棄の効力が争われることがあるからです(ただし、処分した物や経緯によっては、単純承認にはあたらないと判断される余地もあります)。受理されたから安心とは考えず、早めに専門家に状況を伝えて備えてください
いずれも、判断するのは家庭裁判所であり、ケースバイケースです。だからこそ、素人判断で結論を出さず、できるだけ早く専門家に相談することが大切です。
いちばんやってはいけないのは「隠すこと」
ひとつだけ、絶対にやってはいけないことがあります。それは、処分した事実を隠したり、ごまかしたりすることです。
放棄したあとに、故人の財産を隠したり、こっそり使ったりすれば、それ自体が単純承認の理由になります(民法921条3号)。
また放棄の前でも、処分した事実を偽って手続きを進めれば、あとで放棄そのものが覆されるおそれがあります。
どちらにしても、隠すことは何の得にもなりません。正直に事情を話して、専門家と対応するのが、結局はいちばんの近道です。
遺品整理は「放棄しないと決まってから」|札幌・開拓札幌のお手伝い
ここまで読んで、「じゃあ、遺品整理はいつ、誰に頼めばいいの?」と思われたかもしれません。まず、ご自身がどれにあたるかを、確認してください。
- 相続放棄をするか、まだ迷っている/これから手続きする → 今は、遺品整理を始めないでください。 まずは弁護士・司法書士へ
- 相続放棄をしないと決めた(相続する) → 遺品整理を進めて大丈夫です。開拓札幌が業者をご案内します
- 相続放棄をしたが、占有者として片付けが必要 → 専門家(相続財産清算人など)の指示・了解のもとで進めます
私たちは遺品整理をご案内する窓口ですが、放棄を検討している方に、無理に片付けをおすすめすることはしません。
それで一時的に仕事が減っても、ご遺族が借金を背負ってしまうより、ずっと大切なことだからです。
相続放棄の相談・申し立ては、どこへ?
相続放棄そのものの手続きは、弁護士・司法書士に相談・依頼できます。そして申し立て(申述)は、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。札幌にお住まいだった場合は、札幌家庭裁判所です。
放棄がからむときの、業者選びのポイント
もし遺品整理を業者に頼むなら、「相続放棄」への理解がある業者を選んでください。
- 作業の前に、「相続放棄を考えていないか」を確認してくれる
- 価値のありそうな品が出たら、勝手に処分せず、必ず知らせてくれる
- 買取や処分の記録をきちんと残す(前の章でお伝えしたとおり、記録は残ります。だからこそ、記録を残す業者は、あとで「何を残し、何を処分したか」を正しく説明できる業者です)
こうした業者なら、あなたが知らないうちに「処分」をしてしまうリスクを、減らせます。
逆に、確認もせずどんどん片付けてしまう業者は、放棄を考えている方には危険です。
なお、遺品整理そのものの費用相場や、基本的な業者の選び方は、札幌の遺品整理の費用相場と業者の選び方にまとめています。
開拓札幌が、お手伝いできること
私たち開拓札幌は、札幌で遺品整理の相談窓口を運営しています。相続がからむご相談では、次のように対応します。
- まず、ご状況をうかがう:相続放棄を考えているなら、片付けの前に、専門家への相談をおすすめします
- 放棄しないと決まってから、遺品整理:来訪不要の動画・写真でのお見積りもできます
- 追加請求ゼロ・着手前キャンセル無料:お見積りの金額が、最終金額です
どの専門家に相談すればいいか分からないときは、相談先の探し方から、いっしょに整理します。
開拓札幌の公式LINEでは、相続がからむ遺品整理のご相談も、無料で承っています。
なお、遺品整理はお品の量や作業内容で費用が大きく変わり、相場を知らないまま依頼すると、あとから追加請求で損をしてしまうことがあります。そこで、遺品整理そのものの費用相場と、追加料金ゼロで損をしない業者の選び方を、1枚にまとめた資料をご用意しました。
「遺品整理 費用相場&損しない業者選びシート」は、公式LINEにご登録いただくと、その場で無料で受け取れます。見積りの内訳のどこを見れば、相場より高い業者を見抜けるかまで具体的にまとめているので、はじめての遺品整理でも、費用で損をせずに進められます。

相続放棄と遺品整理について、よくあるご質問
形見分けは、してもいいですか?
写真や手紙のように、お金に換わらない思い出の品を、少量、受け取るぶんには、問題になりにくいとされています。ですが、貴金属・時計・ブランド品など、値段がつくものを持ち帰ると、「処分」とみなされ、放棄ができなくなる恐れがあります。迷う品は、動かさないのが安全です。
故人の預金で、葬儀費用を払ってもいいですか?
社会的にみて相当な範囲であれば処分にあたらない、とした裁判例があります(くわしくは本文で解説しました)。ただし、高額な支出は処分とみなされるリスクがあるため、故人の預金に手をつける前に、必ず専門家へご相談ください。
相続放棄の期限(3ヶ月)を過ぎてしまいました。もうできませんか?
相続放棄は、原則として「自分が相続人になったと知った時から3ヶ月以内」です。ですが、「借金があると知らなかった」などの事情があれば、期限を過ぎていても、放棄が認められる場合があります。諦めず、できるだけ早く専門家へ相談してください。
携帯電話やサブスクの解約は、処分になりますか?
携帯電話やサブスクの解約は、財産を手放す「処分」というより、無駄な支払いを止める管理に近い行為と考えられ、放棄の障害になりにくいとされています。ただし、未払い分を故人の預金から払うのは避け、支払う場合はご自身のお金で立て替えてください。
相続放棄と遺品整理は、どちらを先にやりますか?
相続放棄が先です。放棄するかどうかが決まるまでは、価値ある遺品の整理・処分をしてはいけません。順番をまちがえると、放棄ができなくなります。まず、放棄するかどうかを、専門家と決めてください。
まとめ|相続放棄で失敗しないための「順番」
相続放棄で、いちばん多い失敗は、「よかれと思って片付けたら、放棄ができなくなった」というものです。最後に、大切なポイントを振り返ります。
- 放棄を少しでも考えているなら、片付け・処分・売却の前に、手を止める
- 判断の軸は「お金に換わる価値があるか」。迷うものは動かさない
- 「バレる/バレない」ではなく、処分した事実で、放棄は無効になる
- 賃貸は、自分で解約・撤去せず、大家さん側の手続きに委ねる
- 放棄後も、占有していれば保存義務が残ることがある(でも「片付け義務」ではない)
- もう処分してしまっても、諦めない。隠さず、早く、専門家へ
- 遺品整理は、放棄しないと決まってから
相続放棄は、正しい順番さえ守れば、こわいものではありません。そして、その順番の整理からでも、私たちはお手伝いできます。
なお、故人が孤独死で見つかった場合は、発見後の流れや特殊清掃との順番も関わってきます。あわせて孤独死した親族の遺品整理もご覧ください。
私たち開拓札幌は、札幌で、「まず、何に手をつけてはいけないか」から、いっしょに考える相談窓口です。「片付けと放棄、どちらが先か分からない」——そんな段階から、どうぞご相談ください。

